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2006年02月03日

交換レンズ増産計画 (その1)

<管理人より>

ご参考として、次のページもあわせてお読みいただければ幸いです。
今回のペンタックスの工場拡張について、個人的には少々複雑な心境です。

 比企ライフネット(当サイト):2002年8月19日付話題
  小川生れの珠玉の逸品 ペンタックスレンズの思い出

交換レンズ増産計画

京セラ(株)(以下、京セラ)やコニカミノルタホールディングス(株)(以下、コニカミノルタ)のように写真産業界から撤退する企業が相次ぐ中、2月1日、私も長い間製品を愛用してきたペンタックス(株)(以下、ペンタックス)が、一眼レフカメラ用交換レンズの工場拡張を発表しました。

 ペンタックス(株):2006年2月1日付プレスリリース
  ベトナム工場の生産能力増強について

1月6日にもキヤノン(株)(以下、キヤノン)が、やはり同じようにレンズ工場の拡張を発表しています。

 キヤノン(株):2006年1月6日付ニュースリリース
  キヤノンが大分キヤノン安岐事業所内に
  新工場棟の建設を計画いたしました。

工場拡張の目的として、ペンタックスは「今後見込まれるデジタル一眼レフカメラ用交換レンズの需要増に対応するとともに、より一層のコスト競争力強化を図るため」とし、キヤノンは「昨今の急激なデジタル一眼レフカメラ市場の成長に伴い、交換用レンズの需要が急速に拡大しており、今後のさらなる需要拡大に向けた生産規模の拡張が急務となっています」と説明しています。
ペンタックスは海外、キヤノンは国内での工場拡張ですが、察するにキヤノンのオートフォーカス機構はカメラ本体側ではなくレンズ側へ特殊モーターを組込む方式なので、国内工場の方がモーター製造元からの部品調達や急な仕様変更への対処などに有利という判断も働いているのかも知れません。
両社とも、デジタル一眼レフの小型軽量化と低価格化については他社に先駆けて成功しており、その自信が今回の交換レンズ増産計画にも表れているのでしょう。(株)ニコンにしてもプロ用機の早期成功やトップメーカーとしてのブランドイメージなどの支えがあるのに比べ、京セラ、コニカミノルタとも残念ながらこれらすべての点で出遅れた感は否めません。レンズの設計や製造技術は高く評価されてきた両社だけに、それら光学事業が企業の経営を支え切れなかったのは何とも皮肉なことです。

先にデジタル一眼レフの小型軽量化と低価格化に触れましたが、ペンタックスはその極致とも言える新製品を2月下旬に発売するとのことです。

 ペンタックス(株):2006年1月27日付プレスリリース
  気軽に撮影を楽しめる
  レンズ交換式デジタル一眼レフカメラ「PENTAX *istDL2」

都内のある量販店では、予約時から本体価格が税込6万円を割っているのですから驚きです。キヤノンが昨年3月に発売した入門機、EOS Kiss Digital Nが同じ店で今も本体税込9万円台が相場ですから、ざっと4万円もの差があるとみて良いでしょう。
*istDL2はシャッターボタンと同軸に「デジタルプレビュー」という、言わば試し撮り専用のシャッターレバーを新しく採用した点に特長があります。特殊な技術は必要としないアイディア勝負の(これが本当の?)新機軸ですが、初心者より、厳密な撮影結果を求めるプロの方が欲しくなってしまう機能です。画像が保存されないので削除操作は必要無く、節電効果や部品の負荷軽減、記録メディアの障害回避等も期待できるのですが、このように他社には案外思い付かないような発想をさり気なく標準装備にしてしまうところが、ペンタックスには昔からありますね。

販売価格が下がればもちろん収益に影響します。一定水準を保つには、常に他社より優れた新製品を市場へ送り続けなければなりません。開発から製品反映への期間をいかに短縮するかが勝負ですが、その手法が果していつまで続けられるのか、という疑問も残ります。
どんな新技術もいつかは成熟を迎え、市場も飽和するでしょう。しかしメーカーはその後も、利用者のサポートを健全経営の元で維持していかなければなりません。
技術開発だけでなく、近い将来必ず訪れることになる成熟市場を生き抜く知恵も、メーカーは開発しなければならない時期を迎えることになるでしょう。道具として製品をみたとき、標準の機能として何が本当に大切か真摯に考え抜くことのできるメーカーに、その成功を期待したいと思います。

項目: 写真・カメラ

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