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2005年07月26日
尼崎JR脱線事故について (その13)
やはり余裕のなかったJR宝塚(福知山)線のダイヤ
7月25日で事故から3か月が経ちました。JR西日本では毎月25日を「安全の日」と定めましたが、初回のこの日を控えた22日、国土交通省は同社の一部路線のダイヤに異例とも言えるほど余裕が無かったことを明らかにしました。
7月23日付「神戸新聞」:速度の上限でダイヤ編成 宝塚線など一部路線
JR西日本が脱線事故のあった宝塚線(福知山線)や神戸、京都線で、制限速度の上限で運行しなければ守れないダイヤを一部編成していたことが22日、国土交通省が指示した緊急点検で確認された。ダイヤは通常、制限速度より時速2~5キロ遅いスピードで編成され、事故後に緊急点検した全国31鉄道事業者で、余裕のないダイヤを編成していたのはJR西だけだった。
〔中略〕国交省によると、制限時速の上限でダイヤが編成されていたのは、宝塚線のほか、京都~大阪、三ノ宮~大阪などの数本。国交省が遅れを取り戻すために速度を上げる「回復運転」をしないよう指示したため、各列車は事故後、ダイヤより2、3分遅れで運行しているケースが多いという。〔後略〕
(上記7月23日付「神戸新聞」記事より)
7月23日付「読売新聞」:JR西一部路線「弾力性欠ける」
国交省 ダイヤ再点検
国土交通省は22日、全国の主要鉄道会社31社の運行ダイヤを再点検した結果、JR西日本の一部路線のダイヤで、「ラッシュ時の停車時間に十分な余裕がなく、弾力性に欠けていた」ことを明らかにした。 再点検は、JR福知山線の脱線事故を受け、国交省が今年5月にJR各社と全国の大手私鉄などに指示していたもので、JR西以外は、「適切だった」と結論づけた。
(上記7月23日付「読売新聞」記事より)
「神戸新聞」の記事によれば、京都線や神戸線(ともに東海道本線の一部)の京都~大阪~三ノ宮間についても「制限時速の上限でダイヤが編成されていた」(国交省)とあります。
当ブログの5月17日付の記事でもご紹介したように、伊丹市の村山茂さんも、この区間に乗務する新快速の運転士さんのお話しをメールで寄せてくださいました。
「少し遅れるともう必死です」という現場の実情が、これでようやく公に認められたことになります。
制限時速の上限をキープする運転は、ベテランにとっても難しいものとされています。勾配などの影響で速度超過を起こしやすいこと。さらに、120km/h運転ではほんの1秒間に約33mも進んでしまう上、常用ブレーキも車両の走行性能の限界近くでは特性が変化するので、短い駅間ではオーバーランも起きやすくなるのです。
また、車両や線路などの傷みも早くなり、それらの整備や交換に大きな負担がのしかかる心配もあります。
もちろん、現場職員の心身への影響も否定できません。
余裕のないダイヤ編成が今回の脱線事故を誘発した疑いは、ますます濃厚になってきたと言えるでしょう。
〔続く〕
西日本旅客鉄道(株) JR西日本公式サイト
国土交通省:福知山線における列車脱線事故について
同 :航空・鉄道事故調査委員会
*通信社&新聞各紙 4月25日以降の関連記事リンク集*
共同通信社:ニュース特集・尼崎JR脱線事故
「神戸新聞」:特集・尼崎JR脱線事故
「朝日新聞」:ニュース特集 尼崎・列車脱線事故
「読売新聞」:特集 尼崎・脱線事故
「 同 」:JR脱線事故 特集 関西発
「毎日新聞」:尼崎列車脱線特集
項目: 東武・JR
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