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2006年01月10日

一眼レフ? コンパクト? フィルム? デジタル? (その1)

*「一眼レフ? コンパクト? フィルム? デジタル?」<全3部作完結です。
 (その1)デジタルカメラのこれから?/いつかは、フィルムも見直される…
 (その2)フィルムカメラのこれから?/揺れる写真教育の現場
 (その3)写真産業界のこれから?/どうなる? 写真文化振興の担い手
 (続編1)これからの富士写真フイルム(株)
 (続編2)これからのカメラ屋さん写真屋さん…店頭がRAWデータ現像所に?

デジタルカメラのこれから?

 「デジカメWatchi」:1月10日付【インタビュー】 より
  ニコン デジタルカメラのこれから ~後藤統括部長に聞

ニコン待望のハイアマチュア向けデジタル一眼レフカメラ「D200」は、早くも入手難。同時発売の「AF-S DX VR Zoom Nikkor 18-200mm F3.5-5.6G(IF)」はさらに大人気で、来春までは入手しづらい状況が続くとか。

との書き出しで始まるニコン執行役員、映像カンパニー開発統括部統括部長、後藤哲朗さんへのインタビュー記事を興味深く読みました。後藤さんは、

「デジタル一眼レフカメラ市場には、まだまだ伸びしろがあるでしょう」「今後、コンパクト機市場はまだまだ大きくなる余地があります」

と答えておられるのですが、この種の期待に私は「どうかな?」と、実は前から半信半疑な気持ちでいます。

一眼レフカメラはレンズ交換できる万能機。その分、コンパクトカメラはシンプルで手軽な方がいい。そうした役割分担は多分に、デジタルカメラの普及以前に作られた固定観念のように思えるのです。
かつてフィルム1本で間に合うようなロケの場合、その場で目的別にカメラを使い分けたくても、残念ながら撮影途中でフィルムを移し替えることはできませんでした。だから、1台で様々なレンズやアクセサリーが使える一眼レフは、たいへん便利で経済的なカメラでした。

一眼レフ…ひょっとして妥協の産物?

ところがデジタルカメラの場合、規格が合えば撮影途中でも1つの記録メディアを複数のカメラで使い回すことができます。メディアの値段も安くなったので、予め用意したカメラすべてにセットすることも、無理なくできるようになりました。
そうなると望遠撮影にはもっとそれに合った設計のカメラが、さらに接写にも、連写にも、ワイド撮影にも、それぞれ使いやすさを追求したカメラが使いたい、と希望が膨らんでくるのです。
それなのに、そういった希望に応えてくれるのは、現状ではデジタルカメラでも一眼レフ以外にほとんど選択肢はありません。
コンパクトデジカメはサイズをフィルムに制約されず、たいへん小さく高性能な製品が増えてきました。その用途を手軽な携帯用だけにとどめないで、もっと撮影目的に応じた製品をバラエティ豊かに揃えて欲しいと思うわけです。
それらを組み合わせて使う方が、大きく重い一眼レフと、それに負けないくらい嵩張るレンズやアクセサリー類をいくつも持ち歩くより、ずっと荷物全体の量も小さくできるのではないでしょうか。

個性豊かな多くのメーカーがともに発展できる市場づくりを

一眼レフカメラは、交換レンズもアクセサリーも各社独自の規格で市場競争に晒されますから、当然それに勝てず淘汰されるメーカーも出てきます。昨年は京セラ(株)が、カメラ市場そのものから事実上撤退してしまいました。社会的には大きな損失で、非常に残念に思います。
それに比べ、撮影目的に合わせたカメラの開発には規格に縛られない自由があり、無限の発展が期待できます。より多くのメーカーが、それぞれ得意とする技術や個性を発揮できる余地があるのではないでしょうか。
フィルムオンリーの頃のような万能一眼レフとお手軽コンパクトという市場の2極化は、そろそろ改められるべきだと思います。特にコンパクトカメラの場合、今のように似通った製品ばかり市場にあふれ価格競争が過熱していくと、結局は各社共倒れになってしまう気がします。
今後京セラは光学機器分野ではケータイ関連の事業に専念するようですが、企業存続のためとはいえ、カメラ市場からの撤退は少し早すぎた決断だったかも知れません。

いつかは、フィルムも見直される日が…

さて、近年はデジタルカメラばかりがもてはやされ、フィルムカメラはメーカーの開発現場でもすっかり隅へ追いやられてしまったかのようです。

 「パソコンは苦手」
 「使い慣れた古いカメラのままでいい」
 「デジカメしか使っていこなかったから、フィルムカメラはかえって新鮮」
 「レンズ付きフィルムで十分」

そのようなユーザーに支えられ、辛うじて市場に生き残っているような感じさえあります。ここで、先述のインタビューの中で後藤さんが語られている、

「アプリソフトのPicture Projectで提案している数多くたまった写真の管理をよりシンプルにするための方法など、いろいろなお客様のことを想定して、検討しています」

という点について、少し考えてみたいと思います。
果たして、「管理をよりシンプルに」することはできるのか?
コンパクトデジカメが200万画素に達して、今年で約7年。ユーザーが爆発的に増え始めてからは3~4年といったところでしょうか。撮りためた写真の量は、一般ユーザーの日常生活レベルでは、まだそれほど多くはないと思います。
しかし10年後、20年後となるとどうでしょう?
昔の写真をもう一度見たい、プリントしたいと思ったとき、その都度管理ソフトを立ち上げ、いくつもの保存場所から目的のファイルを探し出す苦労に、いったいどれ程のユーザーが耐えられるでしょうか?
こればかりはパソコンの得意、不得意とは関係なく、作業そのものへの好き、嫌いが分かれるところでしょう。まして、他の人が撮った写真となると…。
理屈ではなく、感情を伴う生理的なものですからどうしようもありません。
フィルムなら、透かして見るだけで何が写っているかは一目瞭然です。
便利さや機能性云々以前に、自分はフィルムカメラとデジタルカメラと、本当はどちらが“好き”だったのか。いつかそのときになって、きっと初めて気が付くのかも知れないですね。

写真ファイルの管理には私も日頃から頭を悩まされていますが、今のところ、これがベストという方法はまだまだ見つかりそうにありません。
何やら爆弾を抱えているようで、「ちょっとコワイな…」なんて思いながら、日々過ごしています。


*「一眼レフ? コンパクト? フィルム? デジタル?」<全3部作完結です。
 (その1)デジタルカメラのこれから?/いつかは、フィルムも見直される…
 (その2)フィルムカメラのこれから?/揺れる写真教育の現場
 (その3)写真産業界のこれから?/どうなる? 写真文化振興の担い手
 (続編1)これからの富士写真フイルム(株)
 (続編2)これからのカメラ屋さん写真屋さん…店頭がRAWデータ現像所に?

項目: 写真・カメラ

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