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2006年01月11日

“無料ブログ”に反対します

まず子どもたちを守りたい

小学生でも簡単に始められる“無料ブログ”。
大人の目が行き届かないところで、子どもたちが思わぬ事件に巻き込まれる危険が潜んでいます。
私はそのようなブログをはじめ、日記、チャット、掲示板、フォトアルバムなどの各種WEBツールの無料レンタルサービスに対して、ここに「反対」の意思表明をしたいと思います。
今日、1月11日は、私にとっての「“無料ブログ”反対記念日」です。

なお、対象となる「WEBツールの無料レンタルサービス」には、プロバイダーがインターネット接続サービスを利用する顧客に対し特典として提供するサービスや、有料でも無料サービスのオプションとして用意されたコースなども含みます。有料サービスの無料試用期間などは除きます。

・有料ブログサービスの例 (現在全くの無料サービスは予定されていません)
  1月17付記事で、詳しくご紹介する予定です。
 タイプパッド(Six Apart-TypePad) シックス・アパート(株)運営
 さくらのブログ&レンタルサーバ さくらインターネット(株)運営

無料フォトアルバムサービスの利用を中止します

上記の意思表明に準じ、これまで当サイトが利用してきた無料フォトアルバムサービス「ニコン オンラインアルバム」の利用を、今月末限りで中止します。
対象になるのは、次の各ページに掲載されたアルバムです。
他のアルバム等への移転予定はありません。予めご了承ください。

 「比企の里山 写真ライブラリ Part2」
 「関東甲信越写真の旅 作品アルバム Part3」 (←姉妹サイトへ収録)

*管理人より
いきなり“無料ブログ”反対とは発想が極端すぎるな、と自分でも思います。
でも、誰かに対して反対運動をしようというわけではないので、今何かの無料サービスをご利用中の方はどうかそのまま、安心してお使いください。
(安心できない???)

〔1月13日追記〕

ケータイ向けWEBツールの利用も盛んです。
すでに現実のものになりつつあるようですが、自分専用のケータイWEBツールを持てるサービスが、標準機能としてこれからは当たり前になってくるでしょう。それを子どもでも、お互いのコミュニケーションに普段から利用し合うこともできるようになる。そうした時代の流れは、もう誰にも止めることはできないだろうと思います。また、止める理由もないはずです。
「“無料ブログ”に反対」は、決してそこを目的地にしているのではありません。誰でも気軽に参加できるインターネット上での情報交換を、どうすればより安全に、気持ち良く利用することができるか? そのことを考える出発点が示せるのではないかと、試みた提唱です。安心してあらゆるサービスを無料で利用できることが、いちばん望ましいことは言うまでもありません。
私は、自身の意思表明を誰かに強いるようなことは考えていません。それでももし、1人でも共鳴してくださる方がいらっしゃるなら、とても心強く思います。
〔追記文、終わり〕

水面下で増えている人権や著作権の侵害

ことのきっかけはつい最近、あるWEBサイトを管理する私の友人が、著作権の侵害を受けとことに始まります。
彼は写真作品を自分のサイトに数多く掲載していたのですが、先月、知らないブログに無断で何枚も転載されているのを見つけました。
さっそく、転載した相手に著作権者の表示をしてもらうようメールで連絡したのですが、理解は得られず難色を示されたまま時間ばかり過ぎてしまいました。
最終的には、被害者がほかにもいたらしくブログ運営会社にクレームが複数寄せられ、相手が自らブログを閉鎖することでようやく問題が解決しました。
友人にとって、こうした結末は決して望んだことではありません。なぜなら相手のブログにも多くの読者がいて楽しく交流が続いていたのに、それが失われてしまったからです。
相手も決して悪気があったのではなく、軽い気持ちで無断転載してきたのだと思います。それが結局、今まで人の作品を盗んでいたなどと読者に言われたくなくてどうしようもなくなり、すべてを隠すかのように閉じてしまったようです。

被害に遭った私の友人のサイトには、写真入りのインタビュー記事やほかの人の作品を、関係者から特別に許諾を得て掲載したページもあります。
そのため彼は管理人として、自分の著作権だけでなく、ほかの人の著作権や肖像権、プライバシーも守らなければならない立場にあります。
(私もまた同じです。画像掲示板などを運営されている方も同様です。)
不幸中の幸いで今回侵害されたのは彼自身の著作権だけで済みましたが、それでも問題解決に個人で臨んだ彼の苦労や精神的なストレスは、並大抵のものではありませんでした。

一般市民の日常生活には馴染みの薄かった
ネット上での著作権問題と人権問題

著作権や著作権法などの考え方は、これまではどちらかと言うと、著作活動や著作物利用などを職業とする専門家同士の間で生じうる利害対立の、特に深刻なケースを想定して編み出されてきたものだと思って良いでしょう。
そのような紛争は大概職業上の事情が絡む問題ですから、権利侵害の代償は損害賠償で、つまりお金の支払いで解決されることがほとんどでした。
ところが今のようにインターネット通信が盛んになり、誰もが職業とは関係なくWEB上で著作活動や著作物利用を活発に行えるようになると、一般市民も次第に、日常生活の中で著作権をめぐる紛争に巻き込まれる機会が多くなってきました。先に挙げた私の友人の場合も、管理するWEBサイトは商用目的に発展できる可能性は備わっているものの、元々は彼個人の文化活動の展開を目的としているものです。
彼が侵害された権利は多分に、著作権法で言う著作者人格権(基本的人権の一つ)に当てはまるものです。これは、著作者が本人の意に反するような形で勝手に著作物を発表されたり利用されたりすることを拒める権利です。
著作者人格権は職業に伴うことの多い著作者財産権とは異なり、権利自体を売買したり譲渡したりすることは永久にできない性質のものです。お金に代えられないものだから、紛争の経済的な解決はたいへん難しいのです。
実際、著作権法の専門家である弁護士や裁判官の間でもとりわけ難しい問題とされているそうですから、これまで著作権問題に馴染みの薄かった私たち一般市民にとっては、なおさらのことです。

社会経験の長い大人同士でさえ、いざ自分が当事者になってみるとなかなか相手との折り合いが付けられなくなるのですから、子ども同士が保護者の監督を離れてとなるとどうでしょう。私たちは、いつかの小学生の女子生徒同士の間で起きた、お互いのWEBサイトを巡っての悲惨な事件を、決して忘れてはいけません。
簡単に無料で利用できるブログなどのレンタルサービスが広まるにつれ、こうした諸々の問題が事件に発展する頻度も増していきます。未然に防ぐ対策を、急いで講じる必要があるのです。
また、事件にまではならなくても、個人間の紛争が今後ますます頻発するようでは、いくら弁護士や裁判官の数を増やしてもきりがありません。法律に頼って解決するのではなく、インターネットサービス事業者に対してもっと、抜本的な改善策を求める必要もありそうです。

そして問われる責任の所在 〔以下、1月14日追記〕

「管理人が実際にブログを借りて、大手どころの無料レンタルブログサービスを比較・調査」している人気サイト、『まあ待て、ブログを借りる前にここを読め。』の管理人zumeさんはその記事の中で無料ブログサービスの収益性に触れ、次のように述べられています(『まあ待て、ブログを借りる前にここを読め。』自体は、無料レンタルブログでの運営ではありません)。

 まあ待て、ブログを借りる前にここを読め。:2005年12月25日付記事 より
  意外としぶとい?ブログサービスの運営企業(とブログ市場のゆくえ)

ブログサービスはほとんどの場合無料で提供され、それ自体が収益を生み出すものではありません。
そうなると、企業としてはブログと関連する分野(広告とか書籍化とか自社の他のサービスへの集客とか)に収益源を求めるしかないのですが、〔すべてを見る〕〔さらにその続きを見る

収益を生み出さない事業に、私たちはどこまでサービスを求めることができるのでしょうか。
例えばクレーム処理も大事なサービスの1つですが、先の友人の例ではブログ運営会社にクレームを寄せようとしたところ、そのための連絡フォームを探すのにたいへん時間がかかったそうです。
無料でブログサービスを提供している同社の利用規約(某大手プロバイダー利用規約から一部要約して引用します)によると、「利用者の本利用規約に対する違反行為等を発見された場合には弊社お客様センターまでご連絡ください」といった趣旨の条文が書かれています。そして「利用者は第三者の知的財産権を尊重するよう努力するもの」とし、「ご自身の著作物の著作権が侵害された場合」の情報提供も求めているのですが、なぜか肝心の連絡フォームへのリンクがそこには見当たりません。さらに「利用者の第三者への権利侵害で生じたクレームや請求は利用者の費用と責任で解決するもの」とし、「また、それらの対応に関連して弊社に費用が発生した場合、利用者は当該費用(弊社が支払った弁護士費用を含みます)を負担するもの」とあります。利用者は、権利を侵害した人が最終的に諸費用を負担し、利用者の責任による解決が先で運営会社がその代理を請け負うのは最終手段、ということに同意しなければならないことが分かります。現に各種サービス毎に定められたガイドラインの中には、「当事者間での話し合いを提案させていただくことがあります」との記述もあります。こうした文面には、利用者へ責任感をもって利用するよう促そうという意図も含まれているでしょう。しかし、その割には初めて利用する人の目に留まりにくい、登録申込ページ最下部の小さな文字列に埋没している利用規約ページへのリンク、難解な表現、まるで隠しページのようなクレーム連絡フォームには、運営会社のサービス体制の不備を感じずにはいられません。
「当事者間での話し合い」は、利用者が個人情報を正確に登録していることが前提です。また、相手が未成年の場合、保護者がその代わりを務められなければなりません。それらの不安要素をどう取り除くかも課題として残ります。

事業規模が大きくなるにつれ、クレーム処理の連絡などにかかるコストもそれ相当に増大します。商業目的の事業なら、そうしたコストは事業者自身で負うのが本来のあり方だと思います。
ところが現状では、ブログなどWEBツールの無料レンタルサービスの多くは、事業単独でクレームの処理に伴うコスト回収の仕組みを十分には備えていないようです。これはどうしたことでしょう。
zumeさんが指摘されているように「自社の他のサービスへの集客」を競い合うための、言わば単なる景品程度の認識しか各社にはないのでしょうか。
まず、利用者にマナーや規約への理解を呼びかける。それがクレームを減らすいちばん近道なはずですが、堅苦しいイメージで顧客を逃がしたくないのか、注意事項などを前面に押し出して呼びかけようという運営会社はどうも少ないようです。
インターネットという公共の通信手段を利用するからこそ、サービス展開を図るなら社会全体の利益を考える姿勢を運営会社は示すべきではないでしょうか。
あらゆるコスト負担に耐えられるよう、収益を生み出すノウハウの獲得が成されなければ、企業としての責任を果たしていると言えないのではないかと思うのですが、いかがでしょう。

無料でも有料でもない、“預金型ブログ”はできないか?

さて、これまで述べてきたように、ブログを初めとするWEBツールの利用やWEBサイトの運営には、管理者が守るべき著作権や人権などの権利がいつ第三者に侵害されるか分からないという、大きなリスクが絶えず伴います。
その他レンタルブログサービス事業に必要なコストも含め、それらを誰がどのように負担するかは、非常に重要な問題であるにもかかわらず、まだ議論が足りないように思われます。

そこで私個人の試案ですが、1つの折衷案としてお金を預け入れて利用する
“預金型ブログ”を、ここに提案したいと思います(あくまでたたき台です)。
なお、すでに同様の事例をご存知の方がいらっしゃいましたら、情報をお寄せくださると幸いです。

“預金型ブログ”とは、利用者から預かったお金を運営会社が他の関連サービスの事業投資にあて、その利益をブログサービスの拡充や預金者である利用者の利子へ還元する運営方式です。利率は、利用者の希望に応じてバナー広告などの宣伝効果により変動する方式を取り入れても良いでしょう。
無料ブログと大きく違うのは、有料ブログと同じ様に金銭的な手続が必要になる、というところです。

私がこの方式で特に強調したいメリットは、次の2点です。

 1.未成年者、とくに小中学生などの年少者の利用に関して、
   保護者の監督が促される。
 2.申し込みに際して利用者が個人情報登録を偽証しにくく、
   責任の所在が保証される。

無料方式に残された課題として、先に指摘した不安要素をどう取り除くか、その解決を試みたつもりです。同時に、利用者と運営会社との契約関係が相互に行き来するお金を介し緊張感をもって結ばれることで、両者の社会的モラルの向上も期待できると考えました。

利用者は利子が得られるだけでなく、自分のブログにバナー広告などを掲示し、その代理店である運営会社から広告収入の一部を利子に上乗せしてもらう方式を選ぶこともできます。自然とブログの訪問者数を増やそうと努力するようになり、記事のレベルも高まり、WEBサイト運営への興味も持続できるようになるでしょう。
一方、運営会社も各利用者のブログへの読者訪問を促すため、安定した基金による企業努力で、情報交換のためのポータルサイトや様々なイベントなどの運営に一層力を入れるようになるでしょう。
残念なことですが、無料ブログでは前者の動機が、有料ブログでは後者の動機が持続しにくい傾向は否めません(無料ブログでバナー広告掲示を許可したサービスも増えていますが、多くはまだ、代理店との契約手続も含めセルフサービスのようです)。
その点“預金型ブログ”なら、利用者も運営会社も向上心を持って協力し合い、社会全体の利益につながるWEBサイト運営に、進んで努めることができるようになるのではないでしょうか。

子どもさんも保護者の方と一緒に利用するなら、豊かな創造性や経済観念、社会的能力などを養う貴重な機会にもなると思うのですが、いかがでしょう。

新しい社会作りのために、「ネットと金融の融合」は加速するか?

最後になりますが、お金を運営会社が預かるということは、利用者にマナーやモラル、利用規約に反する行為をさせないための抑止効果も期待できます。
運営会社もお金を預かる以上、利用者離れから解約金支払いに追われることのない様、サービス向上に務めなければなりません。
法的整備も必要でしょうから、今すぐ実験を始めるのは無理があると思いますが、私の記事がその一歩を踏み出すきっかけになればと願い終わりとします。

 著作権法の目的や新聞記事引用のことなどについても、
 機会があればあらためて述べてみたいと思います。
 長文を最後までお読みくださり、ありがとうございました。

 管理人


*主な有料ブログサービスのご紹介

 1月17付記事で、詳しくご紹介する予定です。

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 管理人の気紛れ日記:2006年1月11日付記事
  最近のネット事情
 私の友人のブログです。
 ブログブームに伴い増加するネット上のトラブルに関し、
 多くのWEBサイト管理人へモラル向上を呼びかけています。
 ブログ問題をめぐる市民キャンペーン、私と共に同時発動です。

 まあ待て、ブログを借りる前にここを読め。:2005年12月25日付記事
  意外としぶとい?ブログサービスの運営企業(とブログ市場のゆくえ)
 記事中引用させていただいたzumeさんのブログ記事です。
 無料ブログを使う人も使わない人も、とにかく読んで面白い!
 私もほぼ毎日チェックしている、お気に入りのブログです。

項目: 写真・カメラ , 日常・雑感

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